ロッドのテストに向く人と向いていない人

突然ですが、皆さんが思い浮かべるところの、ロッドをテストする人(テスター)とはどんな人ですか?
やっぱり釣りが上手な人ですか?
釣りが上手い人というのは往々にして道具を器用に扱える人、つまりフィジカル的に器用であり運動神経が発達していると言えます。

釣り以外のスポーツにおいても野球やテニス、スキー、スノーボード、サーフィンなど道具を使う種目では運動神経のなかでも器用に道具を扱えるように自分の体を慣らすセンスが必要になります。

釣りでいうところの道具とはロッドやリールにあたるのですが、前述のような器用に道具を使いこなすまでのスピードが速い運動センスの良い人というのは「弘法筆を選ばず」のことわざ通りどんな道具でもすぐに自分のものにすることが出来る、ロッドに例えるなら最初は「ちょっと使いにくいかも」と感じても、徐々に体が順応して来て「ん?そんなに悪くないかも」となり何時間か使った後には「なかなか良いじゃんコレ」となってしまって、体を道具に順応させる能力が優れているがゆえに最初の違和感が無かった事や「気のせい」になってしまう。
防止策としては、ロッドを使ってみた最初の違和感をすぐにメモしてロッドのプロトモデルもすぐに使用感をまとめたメモと一緒に返却することである程度防ぐことは出来るのですが...

こういう器用な釣り名人タイプは試作しているロッドをテストするよりも完成したロッドを使ってレビューしてもらう広告塔「インフルエンサー」や「モニター」に向いていると言えます。
人から注目を集める術を心得ていて、文章力があるとなお良いと思います。
あえて、社外の釣り名人タイプの人を開発に参画させようとするとメーカーのイメージカラーとは別の特色を盛り込みたいと言う意見が出がちで、これは自身のシグネチャーモデルにしたいという願望が現れるためであり...良い方向に進めばよいのですが悪目立ちしてしまうケースもありますのでブランドイメージを壊さないために気を付けたいところです。

逆に試作品のロッドをテストするのに向く人というのは、どちらかといえば不器用なタイプであり、最初の違和感が消えることなく持続する傾向にあり、違和感があるところを事細かに、出来ればどこの箇所を約何パーセント硬くとか、感覚的に感じたことを言葉や数値にして記すことが出来る、あくまで愚直に淡々と行える人が好ましく、裏方に徹して目立つ必要もありませんので、社外の人よりも社内にいる人材でテスターがいればそれに越したことはないと言えるでしょう。
欲を言えば、ある種の釣りに特に傾向している人間よりも、これまで様々な釣りを体験してきた人であれば答えを導き出すための引き出しも多く良い製品作りに貢献できるといえます。

※これらはあくまでメーカーによって考え方は様々ではありますので一概には申せません。

考えてみれば、ロッドを購入してくれるユーザー様がみんな器用な釣り名人であるわけもなく、器用な人も居ればそうでない人も居る中で優先すべきは、「器用でない人でも快適に扱いやすい」ロッドを作れる人というのは器用でない人がテストしたものとも言えますし、裏を返せば器用でない人も使いやすいロッドというのは器用な人ならもっと使いやすいと感じてくれるはずなのではないでしょうか。
また器用な人でないと使いこなせないような特殊なロッドになってしまった場合、長く支持されたロッドというのは歴史上ほとんどなかったと思います。

本州の河川がクローズしている冬場でも北海道の地で黙々とテストを繰り返す中で見えてくる改善点も多くあり、ガイド数や大きさ、ロッドの継数や素材の見直しなど、器用でない私には見直すべきところが一年を通してテストを繰り返すことで発見も多く、本州の冬季鱒釣り場にも還元可能な事項も少なくないと感じています。

余談ですがロッド以外ですと、ナイロンラインも低水温で硬くなりにくいしなやかさを売りにしたコールドウォーター用とかあっても良いのでは?と思ったりもします(フライラインではCOLD WATER用や、WARM WATER用が存在している)

この度も当コラムにお付き合いくださいましてありがとうございました。




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